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AACoRE > Projects > 人類社会の進化史的基盤研究

人類は生物分類学的には霊長目に属し、進化史的にはごく最近(約600~700万年前)までチンパンジーやピグミーチンパンジー(ボノボ)といった大型類人猿とともに進化の過程を歩んできた。人類の社会性(sociality)の基盤はこれらヒト以外の霊長類との連続性と非連続性を検討することによってこそ、より深く明解な人類学的理解が可能となろう。このプロジェクトは、長期的プロジェクトの第1弾として2005~2008年度におこなわれた「人類社会の進化史的基盤研究(1)」におけるテーマ「集団」に続く第2弾として「制度」をとりあげるものである。ここでは、「制度は言語のうえに成立する」という一般に当然と思われている命題にたいして、音声言語をもたないヒト以外の霊長類に「社会」を認め、社会構造論や家族起原論などを展開してきた霊長類学の知見や理論によってこれを相対化する。そのいっぽうで、当該社会の成員の行為・行動のなかに制度の前駆的なありようをみとめ、言語を前提としない制度の可能性とその進化史的基盤を追究する。